藤の花が散り始めた五月晴れの日、苦労が多く働き尽くしで、でも笑顔を絶やさないで生きた母が静かに息を引き取りました。

 お墓の「色」や「形」はもとより、お墓に刻む「文字」や影彫りにする「絵」はどのようにしようかと姉妹2人でいろいろ思い悩みました。石材屋さんとも何度となく相談し「朝顔」の影彫りと「祈り」の文字を刻むことにしました。

 母は花が好きで、色々な花を庭に植えて楽しんでいました。 決して派手ではないけれど素朴に咲く姿がまるで母の様で、また母の名前にも縁のある朝顔の絵を影彫りにすることにしました。 「どの様な言葉を刻もうか」家族皆で相談していた時、不意に一番幼い子が「『祈り』は?」と。亡き母が見ることの叶わなかった孫のふともらした一言でした。

 霊園のつつじが満開を迎えた五月晴れの日、完成したお墓を見てとてもやさしい感じを受けました。 石の色合いや描かれた朝顔の花など、イメージ通りに出来上がりました。

 「祈り」という言葉に込められた大切な人の想いは永遠に受け継がれるものと信じ、私たち姉妹も母と過ごした日々を忘れず、胸に刻み、安らかに眠ってくれることを祈り続けます。