一級技能士がつくる想いのこもったこだわりの五輪塔。すべて手加工のノミ切り仕上げでお作りしました。№2 藤枝市養命寺にて。

2020年8月20日(木)

こんにちは!静岡県中部地域で、お墓のお仕事をさせていただいています有限会社 佐野石材の木野です。

前回ブログでご紹介した藤枝市養命寺の五輪塔は、一級技能士により手加工でお作りしました。機械で作るお墓とは違った、手加工ならではの味のある素敵なお墓が完成しました。最近は手加工で作るお墓は少なくなっていますので、どんな工程でお作りしたのかご紹介したいと思います!

今回のお客様がお選びになった五輪塔は、五つのパーツから作られている和形のお墓です。一番上から宝珠形、半月形、三角形、円形、方形という形が特徴です。五輪塔の五つのパーツには上からそれぞれ、仏教の自然界の五大要素といわれる「空、風、火、水、土」の名と意味がつけられています。また、宗派にもよりますが、パーツ一つ一つに上から「キャ、カ、ラ、ヴァ、ア」と梵字(サンスクリット語)が彫られていることも特徴です。

上から、、、

「空輪」...空は空間を表しており、災難を取り除いて水を浄めるという意味が込められています。

「風輪」...風は呼吸を表しています。

「火輪」...火は体温を表しています。

「水輪」...水は流れるもの(血や水)を表しています。

「土輪」...土は大地を表しています。

五輪塔には仏教における大切な意味が込められていて、お墓の意味にこだわって建てたい方には、故人を手厚く供養するという意味でも、おすすめできます。

 

佐野石材には、石材加工の一級技能士がいます。石材加工の技術を競う技能グランプリの静岡県代表に選ばれ、全国大会にも出場経験がありますので、その技術には自信を持っております。今回は、その技術を十二分に生かすことのできる手加工の五輪塔をご注文いただきましたので、当社の佐野一級技能士も、はりきって仕事をさせていただきました!

 

五輪塔の上の部分は、新しい四角い石を一から加工し、丸い宝珠の形を作っていきました。

この後、形ができたところで、ノミ切り仕上げという技術で、職人が手加工で仕上げていきます。ノミ切り仕上げはノミを使って荒く平面に仕上げる技法で、ノミを打ったくぼみに趣が出ます。手加工ですので、ノミ跡の美しさが職人の腕の見せ所です。あえてノミで作った凹凸は、時間の経過とともに苔がついていき、それがまた味のある石塔へと変わっていきます。

傘の部分には、ゆるやかにカーブした角があり、より高度な技術が必要とされます。石は角ほど欠けやすいため、きれいに仕上がった角に、職人の繊細な技術が光ります。

 

形を作る加工が終わったところで、お客様に工場に来ていただき、字彫りの打ち合わせをしました。ここまでの経過をご説明しながら実際のお墓をご覧いただき、五輪塔に彫る梵字や家紋の大きさや位置などをお客様と一緒に決めていきました。

もちろんすべて当社にお任せいただいても良いのですが、お墓づくりに参加していただくことで、より想いの深い納得のいくお墓にすることが出来ますね。佐野石材では、焼津市にある自社工場にて、職人が心を込めてお作りしていますので、ご要望があれば、お客様に途中経過をご覧になっていただくことができます。

 

 

梵字はまず、当社専属書家である佐野成風氏が、筆で直接石に書き入れました。佐野成風書家は、昨年度「ふじのくに芸術祭2019」書道展において、朝日新聞社賞を受賞しています。

パソコンで印字された字にはない味のある字を、書家自らが想いを込めて書き入れました。

 

書き入れられた字を、字彫りの職人が一文字一文字彫っていきます。五輪塔の梵字は通常薬研彫りで彫られます。

薬研彫りは、お墓に文字を刻む際の刻み方の一つで、文字の凹みがV字になっている彫り方を指します。V字に彫ること陰影がしっかりとつき、文字が浮き出たように見えるのが特徴です。

 

梵字がきれいに仕上がりました。今回は形を作るところから梵字を彫るまで、すべて手加工でお作りさせていただきました。

 

こだわりの詰まった五輪塔の完成です!

この五輪塔は、三つの石からできています。上台から下や小物は、古いお墓を加工して、さらにノミ切り仕上げをしました。玉石はお客様の庭石を使い、あえて苔は残したところがこだわりです。傘は新しい石をノミ切り仕上げで仕上げました。

三つの別々の石を組み合わせて、一つの五輪塔にまとめました。苔のついた真中の玉石が目を引きます。これから月日を重ねて、新しい石の部分にも苔が付き三つの石が馴染んで、趣のある五輪塔に変化していくかと思います。

想いのこもったこだわりのお墓が完成して、お客様はとても喜んでくださいました。

 

今回の五輪塔は、手加工でお作りしたうえ納期までの期間が短かったので、加工を担当した佐野一級技能士は休憩も取らずに仕事に没頭しました。大変ではありましたが、お客様へお納めするときには同席させていただき、直接お客様の喜ぶお顔を拝見できて、苦労が吹き飛んだと喜んでいました。自分の作ったものが、お客様に届く喜びは何物にも代えがたく、より精進しなければと思いが強くなったようです。

佐野石材では、五輪塔だけでなく、地の神様やその他のお墓など、一級技能士のいる石材店として、手加工のお仕事も自信を持ってお受けいたします!ぜひ、こだわりのある想いの深いお墓をおつくりするお手伝いをさせてください!

 

本日もご覧いただきありがとうございました!