今回は、日本の銘石の一つである「万成石(まんなりいし)」の採石場(丁場)に行ってきました。写真 2013-05-28 17 25 43

万成石とはどういう石かといいますと、まず色が上品で落ち着いたピンク色をしています。まさに桜色、ということで、桜御影石とも呼ばれます。世界的にも、このような色の石は珍しく、多くの有名人、芸術家に愛されてきました。(イサム・ノグチはこの石で、パリのユネスコ本部の彫刻品を製作しています)優しい温もりを感じさせる石ですが、花崗岩の中でもかなり硬い部類に入り、水も吸いにくく耐久性のある石です。そのため、お墓だけでなく、新宿伊勢丹ビルや銀座和光の外壁などの建築物にも使用されています。

さて、万成石ですが、桃太郎の国・岡山県の、県庁所在地である岡山市の、なんと市内中心部で採れるという、かなり珍しい立地の丁場です。7路線が乗り入れする、西日本でも大きな方の駅であるJR岡山駅から、車でたったの15分!!岡山空港や高速道路からも近く、アクセス抜群でした!!(注:普通、丁場は駅から何時間てところが多いのです)

そして、現在採石を続ける2社のうちの1社・武田石材様に、採石現場に連れて行っていただきました。すごく細い道を軽トラでぐんぐん登っていきます。立地は市内の中心部でも、やはり採石場は山でした。

P1020367  P1020377  P1020380 大迫力!!

石材ときくと、山の壁を削って取り出すようなイメージがありますが、万成石は「玉石(たまいし)」といって、石ころの状態で埋まっています。石ころといっても手の平におさまるくらいの物から、数十メートル級の物までいろいろ!!ちょうどよい大きさの物があれば、そのままお墓に使ったりすることもあります。

そしてさらに奥に進んでいくと、少し小さめの玉石や、大きい玉石から切り出した原石がありました。

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これら、転がっている石を運んで、ある程度の大きさに切断し、工場に運んで加工します。

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万成石は、前に書いたように、アクセス抜群の立地ですので、一般の方の見学も多いそうです。そこで、自分で石を選んで、お墓を決めていく方もいらっしゃるとのこと!原石から選べることはなかなかできないので、「一から全て決めてみたい!」という方は、この石も候補にいれていただくとよいと思います。

P1020438 自然な形を利用して、あたたかみのあるお墓にできあがっています。

静岡県中部地方の墓石はグレー系の石が多いですが、そこは日本の銘石の一つに数えられるだけあって、この辺りでも意外と多く使われています。硬いので磨きが長持ちしますから、古い物でも少し手を加えればまるで新品のようになるものも多いです。昔から硬くて「職人泣かせ」と言われており、今も硬さは変わっていませんが、当社では墓石の磨き直しも承ります!ぜひご相談ください。

さて、芸術家や有名人に愛されている万成石。その採石場の一角に、石彫家・寺田武弘氏がアトリエをかまえていらっしゃいます。万成石をこよなく愛し、たくさんの彫刻品を作っていらっしゃいます。岡山県北部の蒜山高原に作品を多数設置してあるとのことなので、お近くにいらした際には是非お寄りください。

最後に、お墓が万成石で作られた有名人をご紹介。まずは、昭和の大スター・石原裕次郎さんです!しかも墓地は曹洞宗大本山の總持寺です。五輪塔が小タタキ仕上げという、最高の仕上げです。先述のイサム・ノグチのお墓も万成石です。他には、池田隼人(元首相)、高村光太郎等々。有名すぎますね・・・詳しくは、(有)武田石材様のHPをご覧ください。(「万成石」で検索です!)

国産石材のよいところは、昔から使われているため経年変化や性質がわかっていることです。また、日本の風土にあっているということもあります。万成石のように、採石場に行こうと思えば行けるところもいいですね。外国産石材にもよいところはもちろんありますが、国産石材ももっと見直されてもよいかな~とよく考える今日この頃です。

 〈sano kanna〉